堺市発達障害児(者)支援事業
4・5歳児発達相談
発達障害をもつ子どもは保育所や幼稚園などの集団生活の中で社会面や行動面の問題が表面化することが多くあります。就学後の不適応を予防するためにも、発達障害の早期発見、早期支援に努め、養育者への育児支援を行うことは重要であるといえます。そこで、当センターでは2008年度には堺市内の一部地域を対象に5歳児発達相談テスト事業を始め、2010年度からは堺市の全地域を対象に年度内に5歳になる幼児を対象とした4・5歳児発達相談事業を開始しています。また、早期の養育者支援として、4・5歳児発達相談に来談した養育者を対象に、ペアレントトレーニングを実施しています。2024年度からは、対面のトレーニングに加えて、オンラインで受講できるトレーニングも開始しています。
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さかいっこひろばにおける発達相談
上述の4・5歳児発達相談事業の取り組みを続ける中で、早期発見・早期療育(支援)の重要性がますます認知されるとともに、より早い時期に発達相談につながることのできるシステムのニーズが高まってきました。そうした背景を受けて、2014年度から、よりアクセスの良い子育て支援施設として遊び場に併設した “さかいっこひろば(旧キッズサポートセンター)”を開設しました。乳幼児から小学生までの親子がのびのびと遊び、つどい、また専門家に相談もできる、より柔軟な子育て支援の場として機能しています。平日は当センターの心理士が常駐し、堺市のスタッフと協力しながら、主に未就学児の育児相談から発達障害に関する専門的な相談・検査まで、幅広く対応しています。また当センターの医師が週2日(各半日)在室して診察や相談を実施し、必要に応じて医療・療育等支援先への紹介や情報提供を行っています。さらに、診察後の保護者への育児セミナー(心理士)や、発達障害や子どもの眠りについての一般向けセミナー(医師)、YMCAと相談室の合同イベント(医師・心理士)を実施するなど、フォローや啓発にも尽力しています。
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吹田市発達支援事業
本事業は、吹田市の発達障害支援と病診連携を円滑にすることと、吹田市の発達支援と教育支援のレベルアップを目的として2023年度より本格始動しました。
発達相談における医療との連携
2023年度より、発達に課題のあるお子さまやその保護者の方が、早期に適切な支援を受けられるよう、吹田市地域支援センターと大阪大学大学院連合小児発達学研究科とで医療連携を始めました。 吹田市地域支援センターが窓口となり、阪大病院小児科発達外来の受診につなげています。これまで子どもの発達に関して医療機関を受診したことがなく、受診を希望する方を対象とし、吹田市立こども発達支援センターや保健センター、教育センターが聞き取りや発達検査等を担っています。その後、月2回の吹田市関係機関と当院の合同カンファレンスにて阪大病院にご紹介いただき、限りある枠の中でより医療につながることが必要と判断される方に受診をご案内しています。受診後は医師、心理士によるアセスメントやアドバイス、必要に応じてお薬の処方、学校・園等との連携等も行っています。また、カンファレンスにて当院受診以外の方法が妥当と判断された方には、地域支援センターを通して、より適した受診先のご提案をしています。
発達相談における医療との連携|吹田市公式ウェブサイト (city.suita.osaka.jp)
吹田市立こども発達支援センターへのスーパービジョン
2023年度は、吹田市立こども発達支援センターで実施しているペアレント・トレーニングに年間6回陪席し、事前準備や実施中の様子について、スーパーバイザーの視点から助言したり、担当者からの質問に応じたりし、ペアレント・トレーニングがより充実したものとなるよう努めました。一定の成果が得られたため、2024年度は、ソーシャル・スキル・トレーニングのプログラムのスーパービジョンを行う予定です。
吹田市立こども発達支援センターでのペアレント・トレーニングの詳細
保護者向け支援|吹田市公式ウェブサイト (city.suita.osaka.jp)
講座やセミナーの開催
発達障害という言葉は耳にする機会も増えましたが、具体的な内容や対応の仕方は詳しくないという方が多いのではないでしょうか。そこで、当事業の一環として、市民公開講座や支援者向けセミナーの開催や市報へのコラム掲載など、発達障害に関する知識や理解を深める機会の提供もすることにしました。 2023年度には、『発達に課題のある子どもと家族のためのセミナー』を吹田市民と在勤の方を対象に実施し、多くの方にご参加いただき大変好評を得ました。また、『睡眠と子どもの発達について』、『乳幼児期の発達障がいの特性と保護者支援』と題した支援者向けのセミナーも開催し、好評を得ました。このように、診療だけではなく、より専門的な立場から市民や支援者の方々へ情報提供することで、地域支援の一翼を担っています。
池田市発達支援システム研究
いけだつながりシート Ikeda_s(イケダス) ・ e-Ikeda_s(イーイケダス)
私達は皆、それぞれに得意な事と苦手な事があり、各々、自身の得意な事を活かしたり、苦手な事を得意な事でカバーしたり、互いにサポートしながら社会生活を送っています。
そこで、各々の得意な事と苦手な事を「生活」「発達」という観点から客観的に、かつ包括的に把握し、それぞれの得意な事を活かす事、苦手な事を得意な事でカバーする事、必要に応じて適切なサポートを得られるようにする事を目指して、養育者と保健・医療・福祉・教育・就労の担当者の声を集め、標準化された発達検査、国際的な尺度等も踏まえ、本研究室の研究員を中心とした専門チームの意見を基に、全市民が生涯に渡って成長・発達を記録できる「いけだつながりシート Ikeda_s」を作成しました。
また、「いけだつながりシート Ikeda_s」は、作成時より、利便性を更に高めるべく電子化を想定しており、Webサービス「e-Ikeda_s」として展開いたしました。
私達は、「いけだつながりシート Ikeda_s」・「e-Ikeda_s」を軸として、科学的視点や支援者としての立場から、また発達支援システム構築の観点から全面的に支援しております。
池田市発達支援Map
池田市では、多様なサービスを提供しているが、様々なライフステージで生じる発達に関する相談をどこで相談すれば良いか分からないという課題がありました。そこで、市民が生涯に渡って、池田市内、および大阪府におけるライフステージごとの社会資源を1冊で把握し、関係機関へスムーズにコンタクトをとれるようにする事と市役所窓口等で、市民に社会資源について資料を用いて伝えられるようにする事を目的として、発達の道筋や、障がいの有無にかかわらず生涯発達の観点からそれぞれの社会資源のつながりを俯瞰できる専門性を持つ本研究室の研究員が、医療や子育て、保育・教育、福祉、就労等に関する事業(機関)名とその概要、連絡先を掲載した冊子を作製いたしました。
かおTV
他者が、この世界をどのように見て、どのような物に興味や関心を持っているのかという事について思いを馳せる時、私達は他者の行動を通して、相手が見ている(感じている)世界を想像しています。かおTVは、3分弱TV画面を見ていただく事により、目線の動きを測定する事ができるため、かおTVをご覧になった方が見ている世界を客観的に把握するが可能になります。かおTVを通して、子どもの興味関心を養育者や周囲の人が客観的に把握する事は、日々の子育ての工夫を検討する際にも役立つと考えられます。
池田市では、養育者に子どもが見ている世界を客観的に知っていただく事を目的として、1歳6か月児健康診査時やイベントの際などに、希望者を対象として、かおTVを実施しております(おおむね1歳以上)。
私達は、かおTVでの子どもの興味関心への気づき促進に終わらず、その後の支援システム構築も含め、科学的視点や支援者としての立場から全面的に支援しております。