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子どものこころの発達に科学の解明とサポートを

研究案内 療育介入研究

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ペアレントトレーニング

  当センターでは、自閉症スペクトラム障害(ASD)の子どもを対象にしたペアレントトレーニング、PTSS(The modified Parent Training of Smaller groups and Shorter schedules (PTSS))を実施しています(奥野ら, 2013, 脳と発達)。PTSSは、就学前から小学校中学年までの発達障害の子どもの親を対象に実施してきました。グループは、3~4家族程度の小グループで編成し、回数も6回と短縮して行っています。回数を短縮することで、早期発見から実際の支援開始までの待機時間を減じ、参加人数を少数にすることで、子どもの特性や問題行動に配慮したグループ分けを行うことが可能となっています。ASDの子どもたちに、PTSSを実施した検討では、有効性を示唆する結果を得ており(Okuno et al, Brain Dev, 2011)、年齢が高い子どもでもある程度の有用性が期待されます(Matsumura et al., Int J Environ Res Public Health)。近年では、オンラインでのペアレントトレーニングも行われるようになり、その効果の検討にも取り組んでいます。


ソーシャルスキルトレーニング

 当センターでは、2009年度より自閉症スペクトラム障害(ASD)の小学生を対象に集団によるソーシャルスキルトレーニングであるわくわくチャレンジクラブを実施しています。5名程度の少人数での実施、および養育者のソーシャルスキルに関する勉強会を並行していることが特徴です。これまでの研究では、学校におけるコミュニケーション行動の増加が確認されています。また、養育者の子育てに対する自信や家族機能に対する効果も見られています(Okuno et al, 2016 Int J Environ Res Public Health)。現在は、相互作用やより効果的なソーシャルスキルグループの運営法に関する検討や(Yamamoto et al., 2021 Front Psychiatry)、オンライン化の試み(山本,in press, 子どものこころと脳の発達)を行っています。


ティーチャートレーニング

 当研究室では、インクルーシブ教育に関わる教師支援の方法としてティーチャートレーニング研究を行っております。ティーチャートレーニングとは、行動療法に基づくプログラムで、学校生活の中で気になる児童生徒を担当する教師向けに、国内外の学校でも実践的に活用されています。当研究科でも、対面式、TV会議式トレーニングなどの介入結果として、教師の自信度や子どもの行動問題改善の効果を確認しております(Ishii et al, 2020 Int J Environ Res Public Health; 石井ら, 2020 子どものこころと脳の発達)。現在は、学校現場でより実践しやすい介入方法の改善を続けております。


子どもや保護者へのさまざまな支援介入の評価

 自閉スペクトラム症、注意欠如多動症などの神経発達症のある子どもやその保護者に対する子育て支援は、大きな関心を集めるトピックです。保護者への子育てのサポートとして、子どもに対する発達支援、問題行動の低減を目的として、さまざまな支援介入が行われてきています。このような介入が本当に有効であるのかについて、さまざまな検証を行ってきました。親・保護者に対する子育て支援として低出生体重児の親支援に関わる研究、神経発達症の子どもへの問題解決療法の評価(Okuno et al., 2019 Jpn J Child Adolesc Psychiatry)、親子相互交流療法に基づいた介入研究(Furukawa et al., 2018 Child Fam Behav Ther)、安心感の輪に基づいた研究を行ってきました。さらに、学校場面での介入として、学齢の子どもに対する問題解決トレーニングなどの実践評価の取り組みも行っています(Hatakeyama et al., 2024 Psychol Schools)。このような検討を通じて、子育て支援の実践についての研究を行っています。