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小学校での問題解決トレーニングの介入で実行機能との関連を検討

子ども達は、学校場面で様々な課題に遭遇したり(e.g., 友達に冷たくされた)、困難な場面(e.g., 怒りをぶつけられた)を経験することがあります。そういった場面で、どのように対処していくのかということは、学校生活への適応を考えるうえで重要です。そのような観点の一つに、社会的問題解決に注目した介入プログラムがあります。
図1:問題解決のプロセス図

図1:問題解決のプロセス図

この研究では、そのような社会的問題解決のトレーニングを短期間実施することによって、子どもの問題解決に関わる能力の向上が得られるかを検討しました。また、物事を判断したりする際に重要となる実行機能にも着目し、実行機能の高さによって、効果が異なるのかも検討しました。 研究の結果、問題解決能力において問題解決のために対処方法を案出する数が向上することが確認されました。また、実行機能の高さによって介入の効果に違いが出てくる可能性がわかり、個別の特性に合わせた支援や介入が必要となってくる可能性を示しました。
図2:実行機能の高さによる、介入効果の違い

図2:実行機能の高さによる、介入効果の違い

Hatakeyama Y, Fujino H, Yamamoto T, et al. Effects of classroom‐based social problem‐solving training on elementary school children: Investigating the moderating role of executive function. Psychol Sch. 2024;61(4):1630–1645. doi:10.1002/pits.23129


10代前半のASD児の保護者に、日常生活スキル向上の支援を含むペアレントトレーニングを実施

日々の生活を送っていく上では、身辺自立や家事、地域生活などの日常生活スキルを身につけて行くことは重要な課題です。一般には、年齢が上がるにつれて、必要なスキルを獲得して、少しずつ、年齢に応じた行動が身についていくようになります。
図:日常生活で必要なスキルの例

図:日常生活で必要なスキルの例

しかし、自閉スペクトラム症(ASD)の子どもでは、知的機能が高い場合であっても、日常生活スキルの獲得に困難があることが知られています。この研究では、10-15歳のASD児の親を対象として、日常生活スキルに焦点を当てたペアレントトレーニングに基づいた介入を行い、日常生活スキルの向上を検討しました。 その結果、保護者の方ができるようになってほしいと考えていた行動については身についてできるようになりました。一方で、多様なスキルにわたって様々な行動を身につけて行くためには、さらに支援が必要となることもわかりました。この研究では、ASD児の親に対する支援を行う有用性と、課題を明らかにしました。

Matsumura N, Fujino H, Yamamoto T, et al. Effectiveness of a Parent Training Programme for Parents of Adolescents with Autism Spectrum Disorders: Aiming to Improve Daily Living Skills. Int J Environ Res Public Health. 2022;19(4):2363. doi:10.3390/ijerph19042363


ASD児のソーシャルスキルトレーニング(SST)での相互作用をビジネス顕微鏡で可視化

社会生活を送っていく上では、社会的スキルや、他者と一緒にコミュニケーション、相互作用をしていく力は不可欠です。自閉スペクトラム症(ASD)の子どもへのソーシャルスキルトレーニング(Social Skill Training:SST)は、子どもの社会的スキルを身に着けるために、重要な方法として、多くの実践が重ねられてきました。しかし、相互作用を目で見て捉えることは難しいため、どのように評価するかについては、さまざまな課題があります。この研究では、ビジネス顕微鏡(日立製作所)を用いて、子ども同士の相互作用を量的に評価した研究です。図にあるように、SSTを始めた時と、SSTのプログラムを受けた時では、相互作用のパターンが変わっていることが視覚的にわかりやすく表示されています。

A

図:Aに注目した場合の相互作用の強さの程度

B

図:Bに注目した場合の相互作用の強さの程度

このように、さまざまなツールを用いた研究を行い、支援方法の評価を進めています。

Yamamoto T, Okuno H, Tatsumi A, et al. Use of a Sensing Device to Visualizes Group Participation in Social Skills Learning Groups. Front Psychiatry. 2021;12:642949. doi:10.3389/fpsyt.2021.642949

 当領域では、2009年度より自閉症スペクトラム障害(ASD)の小学生を対象に集団によるソーシャルスキルトレーニングであるわくわくチャレンジクラブを実施してきました。現在は、相互作用やより効果的なソーシャルスキルグループの運営法に関する検討や(Yamamoto et al., 2021 Front Psychiatry)、オンライン化の試み(山本,in press, 子どものこころと脳の発達)を行っています。