研究成果

授乳中の母親のストレスが子の脳内でストレスホルモンの活性を変えうることの発見とそれに関わる分子を同定

2021-09-07

幼少期のストレス(ストレスホルモン)は発達中の脳に様々な影響を及ぼすことが報告されています。連合小児発達学研究科大阪校の佐藤真教授らの研究グループ(大阪大学医学系研究科大学院生(当時) 土井美幸、連合小児発達学研究科講師 岡雄一郎ら)は、ストレスホルモンを局所で活性化する酵素11β-HSD1の遺伝子を発現する神経細胞が、発達に応じ大脳皮質内で一過性に増加すること、そして授乳中の母親のストレスはその遺伝子発現細胞数を大きく減少させることを発見しました。発達段階の脳内におけるストレスホルモンの活性制御に関わる分子を同定した本研究により、発達段階の脳にもたらす母親および子のストレスの影響についての根本的な理解が大きく進むと期待されます。本研究成果は米国科学誌「Journal of Neurochemistry」(電子版)に9月7日(火)に掲載されました。

Doi M, Oka Y, Taniguchi M, and Sato M. Transient expansion of the expression region of Hsd11b1, encoding 11β-hydroxysteroid dehydrogenase type 1, in the developing mouse neocortex. Journal of Neurochemistry 07 Sep. 2021. doi.org/10.1111/jnc.15505.