研究成果

アダプター蛋白質複合体1が、セロトニン受容体6型の繊毛への局在を促進

2025-07-18

要旨
大阪大学子どものこころの分子統御機構研究センター(片山泰一研究室)の三好 耕助教、片山泰一教授らの研究グループは、脊椎動物において細胞のバイオセンサーとしての役割を担う1次繊毛に局在するセロトニン受容体6型(Htr6)について、その繊毛への局在をアダプター蛋白質複合体1が促進することを明らかにしました。哺乳類の脳では、Htr6を含む特定のG蛋白質共役型受容体が1次繊毛に優先的に局在して化学的な検知を行い、中枢神経系の発達に関与します。1次繊毛の機能異常は、自閉スペクトラム症を含む全身性の症状を呈する繊毛病を惹起します。一方、それらの受容体が1次繊毛に輸送される分子メカニズムは、十分には解明されていません。本研究は、Htr6の繊毛への局在を制御する輸送機構について検討しました。まず、Htr6の第4細胞内ドメイン(Htr6 i4)内の領域が、Htr6の繊毛局在にとって十分であることを示しました。次に、酵母において、この領域が、アダプター蛋白質複合体1のサブユニットであるγ1-AdaptinのC末端領域と結合することを見出しました。Htr6とγ1-Adaptinの結合は、HEK293T細胞を用いた免疫沈降法によっても確認されました。hTERT RPE-1細胞においてγ1-Adaptinを欠失させると、Htr6およびHtr6 i4の繊毛への局在は有意に低下し、この低下は、外因性のγ1-Adaptinの発現により回復しました。なお、γ1-Adaptin欠失hTERT RPE-1細胞では、アダプター蛋白質複合体1は形成されませんでした。更に、培養海馬ニューロンにおいてγ1-Adaptinを欠乏させると、 Htr6およびHtr6 i4の繊毛への局在は低下しました。以上の知見により、Htr6が中枢神経系の正常な発達に寄与するために必要な繊毛局在が、アダプター蛋白質複合体1が媒介する膜輸送により促進されることが初めて示されました。本研究成果は、2025年7月18日に学術専門誌「Cellular Signalling」(電子版)に掲載されました。

Yuanyuan Qin, Ko Miyoshi, Zhuoma Yinsheng, Yuuki Fujiwara, Takeshi Yoshimura, Taiichi Katayama. Adaptor protein complex 1 facilitates ciliary localization of serotonin receptor type 6. Cell Signal 135:112008 (2025) doi: 10.1016/j.cellsig.2025.112008