研究概要

研究概要

日本におけるがんは,小児・成人ともに死亡率が第一位であり,その対策が急務です。一方,がんの治療成績が着実に向上するとともに,がん医療の目指すところも変わりつつあります。がん患者が日常生活を支障なく送るために,抗がん剤による味覚変化や口腔内の有害事象の軽減,心身の健康を保つ栄養補給とともに食事の満足度を満たす食の開発が不可欠です。抗がん剤などの服用薬を使用すると味覚障害がおこり,著しくQOLの低下,栄養摂取の低下がおこる場合があります。しかし味覚障害には個人差が大きく,現在のところエビデンスに基づく対応策はなされていません。

本講座では,味覚の個人差に注目し,健常者の味覚感受性にどのような個人差があるのかを遺伝子多型と味覚閾値検査によって調べ,ベースとなる基礎データを作成します。そして抗がん剤などの服用薬投与時の味覚障害の有無を予測したり,味や成分の工夫をすることにより味覚変化軽減への早期対応へ活かすことをを目指します。

栄養学画像
研究概要図

研究テーマ

  • 抗がん剤による味覚変化を予測するため,味覚の個人差を客観的に評価できる系を確立する。
  • 上記を利用して,抗がん剤に禁忌の食材の科学的根拠を薬理学的に解明する。
  • 抗がん剤の有害事象の軽減を目指して,
    細胞の再生能や創傷治癒の向上に有用な消化吸収のよいペプチド製剤を開発する。
  • 基礎体力の向上,がんによるサルコペニアの予防を目指したリハビリ・フィットネス法を開発する。
  • エビデンスに基づいた,がん患者とその家族の心のケアについての指針作り。