2020-11-03
福井大学子どものこころの発達研究センターの友田明美教授らの研究グループは、39組の母親と子ども(6~11歳)を対象に、安静時機能的磁気共鳴画像(rs-fMRI)を用いて母子の脳画像解析を行い、親子遊びを行っている母子相互作用の質を定量的に評価し、母子のアイコンタクトの頻度との関係を検討しました。その結果、視線を送る頻度と子どもの右前島部(AI)と左中前頭回に正の相関があり、母親の前帯状皮質(ACC)と楔前部/楔部に正の相関が見られました。そして、母子のアイコンタクトの頻度と子どもの右AI、母親のACCと正の相関がありました。さらに、アイコンタクトの頻度は、母子相互作用の質と正の相関がありました。これらの結果は、Salience Networkの主領域と言われるAIとACCが、効率的なアイコンタクト成立に関与する神経基盤の主要な脳領域と考えられ、積極的な母子相互作用を確立する上で重要な役割を果たしていると示唆されます。本研究の成果は、2020 年11月3日に英国科学雑誌 Nature 系「Scientific Reports」 に掲載されました。
Kuboshita, R., Fujisawa, T. X., Makita, K., Kasaba, R., Okazawa, H., & Tomoda, A. Intrinsic brain activity associated with eye gaze during mother–child interaction. Scientific Reports. (2020)10:18903. doi:10.1038/s41598-020-76044-y