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小児期における睡眠の問題は、成人の睡眠障害の様に昼間に眠くなるだけでなく、成長や発達に大きな影響を与えることが知られています。心身のリフレッシュメント、記憶の固定、免疫の強化等、睡眠の重要性は今さら言うまでもありませんが、特に子どもは大人に比べて長時間の深い眠りが必要であることがわかっています。睡眠時間が短い子どもでは学業成績が悪いというアメリカ合衆国の高校生のデータがありますし、また、閉塞性睡眠時無呼吸症候群の子どもでは発達遅滞や学業不振、注意力低下、衝動性、攻撃性等の認知・行動面での合併症が多いとされています。このような行動面での異常が発達障害児の臨床症状に似ているということは、多くの研究者の注目を集めております。睡眠不足が長期間続いた場合、または睡眠障害が適切に診断・診療されなかった場合、子どもの神経に永続的な変化がおこる可能性もあります。私たちのグループは《小児睡眠外来》を開設して、専門的な診断・治療を行っています。また、睡眠障害を持つ広汎性発達障害児は決してまれではありませんが、その病因や病態はよくわかっていません。私たちは、発達障害児に何故、睡眠障害が多いのか、どのように対処してあげるのが発達の面から適切なのかということを研究していきたいと考えています。