千葉大学
子どものこころの発達教育研究センター
研究概要
千葉大学子どものこころの発達教育研究センターは、医学、教育学、心理学、工学、情報科学、脳科学などの領域を超えた連携により、子どものこころの問題を解決する研究をすすめています。現在、以下の3つの研究領域で研究を進めています。
- 認知行動療法学部門
子どものうつ、不安、強迫の治療法として推奨されている認知行動療法の臨床実践と技法の開発、治療法の提供方法についての研究
- メンタルヘルス支援学部門
自閉スペクトラム症の子どもとその保護者への心理教育のため、また教育現場でのメンタルヘルス支援や予防教育のための認知行動療法の活用についての研究
- 認知行動脳科学部門
こころの脳科学的理解と認知行動療法の治療メカニズムの解明のための研究
研究事業とその取り組み
認知行動療法学部門
- 児童思春期の強迫症に対するテレビ電話を用いた遠隔の認知行動療法のランダム化比較試験を実施中で、強迫症状への効果検証を行う。
- 不安症の児童の保護者に対して認知行動療法的対応および技法を指導し、その効果を検討する。
- パニック症に対する個人認知行動療法のランダム化比較試験を実施し、費用効果分析を行う。
- 強迫症への認知行動療法の治療者に対して遠隔でのスーパービジョンを行い、その効果を検討し、そこで得られた治療者からのフィードバックをもとに、現在の治療者用のマニュアルの改訂をおこない、書籍化する。
- 過食症に対するテレビ電話を用いた遠隔の認知行動療法のランダム化比較試験を実施中で、過食と嘔吐の回数の軽減を検証する。
- 認知の柔軟性および全体統合性の脆弱な拒食症、強迫症、自閉スペクトラム症を対象に認知機能改善療法を行い、認知機能の改善における効果検証を行う。
メンタルヘルス支援学部門
- 子どものメンタルヘルスの問題を予防・早期介入するために開発した認知行動療法に基づく不安の予防教育プログラム(勇者の旅)の効果を、国内外の小中学校にて検証する。
- 児童思春期の高機能自閉スペクトラム症者および家族に対する認知行動療法を用いた心理教育プログラム「ASDに気づいてケアするプログラム(Aware and Care for my Autistic Traits;ACAT)」の開発、効果検証を行う。
- 成人期の合併精神障害を持つ自閉スペクトラム症者に対するスキーマ療法の有効性の評価を行う。
- 高機能自閉スペクトラム症者の社会的カモフラージュ行動が精神的健康度にどのような影響を与えうるかを明らかにする。
- 自閉スペクトラム症の疑いのある乳幼児を持つ保護者の養育レジリエンスを増やすための認知行動療法の開発と効果検証を行う。
- スキーマ療法およびASD者へのCBTのトレーニングを行う。
- 不登校児童の保護者に対して、認知行動療法を用いたテレビ電話による遠隔支援を行い、その実用性を検証する。
認知行動脳科学部門
- うつ・不安症・強迫症の脳画像研究:脳画像、神経心理データや血液検体を用いて、神経回路の変化や認知行動療法の影響を調べる。
- 摂食障害の脳科学研究:神経性過食症(過食症)や神経性やせ症(拒食症)の過食衝動や失感情症、報酬系などの認知的変化と認知行動療法の脳へ与える影響を調べる。
- 認知機能検査や視点検出技術を利用した脳機能研究、認知心理学的脳画像研究:発達障害における社会的情報への視覚的注意、臨床症状との関連性などを調べる。
社会貢献活動
- 子どもみんなプロジェクトホームページの中国語翻訳
- 予防教育プログラム「勇者の旅」ホームページの中国語翻訳
- 予防教育プログラム「勇者の旅」ワークブックの中国語/英語翻訳
- 予防教育プログラム「勇者の旅」指導者養成研修会の開催
- 教育委員会/小中高等学校での研修会開催
- 「ASDに気づいてケアするプログラム(Aware and Care for my Autistic Traits;ACAT)」研修会の実施
- 臨床発達心理士会 研修会開催
- 臨床心理士会 研修会開催
- 早稲田大学心理学会 講演
- 日本認知・行動療法学会 研修会開催(毎年)
- 国際認定スキーマ療法士 トレーニングコース開催
- 千葉市障害者センター 発達障害研修会 講演
- 作業療法士研修会 講演
- 脳画像研究会での研修会開催
- その他、精神科クリニックや研究会での研修会開催